「いないいないばあ」
(松谷みよ子文・瀬川康男絵 童心社)

 

赤ちゃんに絵本を読んであげるのはいつ頃からでしょうかとよく聞かれます。別に決まった答えはないのですが、そんなに慌てなくてもよいでしょう。赤ちゃんは生後3か月くらいで、目で物を追い始めますが、まだはっきりと見えているわけではありません。1歳前後で漸く視力が0.2程度と言われています。ですから絵本を見せてあげるのはその頃からでも充分なのですが、まだ絵本という認識はなく、遊び道具の一つくらいに感じているのではないでしょうか。
まず赤ちゃんにとって必要なのは安心できる居場所です。その居場所は赤ちゃんとのコミュニケーションによって与えられるものです。手段としては、抱っこ・手遊び・指遊び・わらべ歌・子守歌・素話などが挙げられますが、絵本もその一つです。
そしてコミュニケーションに欠かせないものが、肉声とスキンシップとアイコンタクトなのです。
いないいないばあ遊びは、赤ちゃんが喜ぶ手遊びです。これは日本だけでなく世界中でも広く遊ばれています。英語圏の「Peek-a-boo(ピーカ・ブー)」は有名でしょう。発達心理学から見れば、安心できる対象が一度失われる不安から、再び現れる喜びが興奮となって表現されるということです。絵本化されたものも何冊かあるのですが、一番人気がこの「いないいないばあ」です。1967年発行ですから今年で50年目を迎えます。発行部数は600万部を超え日本で一番売れている絵本でもあります。遊びながら安心して読んであげてください。

文 吉井康文
(こぐま社前社長)