かお かお どんなかお

柳原良平

(こぐま社)

  前回コミュニケーションに大切なものとして、肉声とスキンシップとアイコンタクトを挙げました。絵本は読んであげるものですから、肉声を使うのは当然のことですが、スキンシップやアイコンタクトを意識した絵本も作られています。
  生後6か月くらいになると赤ちゃんは物を注視し始め、顔の認識ができるようになります。人見知りが始まるのもこのあと頃でしょうか。人間の赤ちゃんほど弱い立場の動物は、他にはいません。赤ちゃんにとっても自分の身を委ねる相手が安心できる人なのかを見極める必要があるのでしょう。ですから赤ちゃんは、真剣なまなざしでじっと見つめ、目と目が合うことに安心感を覚えるのだと思います。
  そんな頃の赤ちゃんに人気のある絵本が「かおかおどんなかお」です。1988年の発行ですので、もうすぐ30年が経ちます。著者の柳原良平氏は、サントリーのアンクルトリスで有名なイラストレーターですが、赤ちゃんのための絵本はこれが初めて。どのページにもいろんな顔が画面いっぱいに大きく描かれ、赤ちゃんと対峙して目と目が合うようにできています。この後に出た「ゆめにこにこ」「のりものいっぱい」「やさいだいすき」(いずれもこぐま社)などもすべてのものに目が付けられていて、赤ちゃんに喜ばれています。
  またこの「かおかおどんなかお」は、赤ちゃんだけではなく小学生でも顔をまねたり、親に「この顔やって」とねだったり、幅広く楽しまれているようです。
 
文 吉井康文(こぐま社前社長)