「もこもこもこ」(谷川俊太郎作 元永定正絵 文研出版)

 

 赤ちゃんはオナマトぺ(擬音語・擬態語)が大好きです。胎内にいる6か月には赤ちゃんの聴覚は確立されていると言われます。勿論羊水を通して聞こえてるのですから、ことばとして聞いているわけではありません。その頃から周りの大人たちはお腹の赤ちゃんに語りかけるのですが、その時にオナマトぺを多く使うとの報告もあります。また生まれてからも「ぶ―ぶー」「わんわん」「にゃあにゃあ」など擬音語を多用します。きっと赤ちゃんの耳には短く繰り返されるオナマトぺが心地よいのでしょう。

 オナマトぺを使った絵本も多数出版されていますが、その中でもこの「もこもこもこ」は最も人気の高い絵本の一冊です。1977年に出版されてから40年以上読まれ続け、100万部を超えているのですから。でも発売当初は全然売れなかったそうです。大人には理解できなかったのでしょう。受け入れてくれたのは幼い子どもたちです。

 表紙のダイナミックな絵で目を引き付け、お話は見返し(表紙を開けたところ)からもう始まっています。表紙から裏表紙までが作品になっているのです。「しーん」「もこ」で始まり、最後に同じ場面が繰り返され、新たに続くストーリーを想像させてくれます。オナマトペと色彩豊かな抽象画だけで物語を紡ぐ大胆さが、幼い子どもの心に響きました。

 この他にも「じゃあじゃあびりびり」(まついのりこ作 偕成社)「がたんごとんがたんごとん」(安西水丸作 福音館書店)「ゆめにこにこ」(柳原良平作 こぐま社)などが赤ちゃんに大人気。声に出して楽しい絵本たちです。

文:吉井康文 (こぐま社前社長)